そら、はる

そら、はる

そらに春がきた

南風がふいている

きれいに見える ほしぞら

冷え切った指先に花が咲いた

そらに春がきた

洗濯物ものが乾いている

梅の花が さくらのつぼみが

花壇の菜の花が

春を知らせている

生きている

とことこ とことこ

歩いて行くの

わたしの歩幅はちいさめ

ゆっくり ゆっくり

生きていくの

わたしの人生は

スローペース

人より敏感で

人より過敏で

弱音も吐けずにくじけてしまって

今はもうゆっくりにしか

生きられない

それでもいいの

波があるけど

死にたくなる時があるけど

それでもいいの

生きているの

そら

そらは あおいな

そらは ひろいな

ぼくの こころも

そらみたいに

すきとおって じゆうなら

いいのになあ

晴れた空

晴れた空が好きだ

なんて気持ちいいのだろう

あの空のように私の心も

澄み切ったらいいのに

吸い込んだ空気が

冬の街の匂いがしても

私は空にはなれないまま生きている

じたばたもがいて生きている

向き合うのが難しいまま

やり方もわからないまま

晴れた空は

そんな私を見つめている

自己肯定感の木

自己肯定感はまるで木みたい

根っこがたくさんあればあるほど

どっしりした木になる

幹が太ければ太いほど

傷ついても倒れにくい木になる

枝葉がしげっているほど

いろんなことに自由になり

咲く花が美しいほど

輝ける自分になる

今の僕の木は

根っこは二、三本でひょろひょろ

倒れそう

幹は傷でボロボロ

枝葉はしょぼしょぼ

花は咲かなかった

でもいつか

立派な木になればいいな

今からでも遅くないよね

直していくんだ僕の木を

心の病

どうして心の病は

僕らと世界をひきはなしてしまうのだろう

道ゆく他人が

僕を見ているような気がして

僕の頭の中を透けて見ているような気がして

恐ろしくて

ただ 恐ろしくて

それなのなら世界と僕の間には

グレーのベールが存在している

触れられないベールが僕と世界とを引き離している

心の病は

僕と世界を引き離してしまうんだ